2022年 三村会頭・年頭所感(フルバージョン)

「地域とともに、未来を創る」

 

明けましておめでとうございます。

2022年の新春を迎え、謹んでお慶び申しあげます。

昨秋以降、国内では新型コロナ新規感染者数が著しく減少し、本格的な日常生活回復に向けた動きが加速化する中で新年を迎えられたことを皆さまと共に喜びたいと思います。

海外での感染再拡大などもあり、先行きの見通しは予断を許さないものの、商工会議所は、本年を感染防止と社会経済活動をより高い次元で両立させる年と位置付け、地域経済ならびにそれを支える事業者の皆さまの発展のため、引き続き全力を尽くしてまいります。

さて、コロナ禍で急激に落ち込んだ経済もようやく回復基調に転じましたが、依然力強さを欠き、業種や規模により回復度合いが異なる「K字型回復」の状況が続いています。国民全体を覆う閉塞感を真に打開するためにも、昨年政府が決定した「新たな経済対策」の着実な実行はもとより、国民が日本の将来について明るい希望を抱けるような、新たな成長と発展への道筋を明確に示す必要があります。

第2次岸田内閣の発足以降、政府は「新しい資本主義」を掲げ、「成長と分配の好循環」「コロナ後の新しい社会の開拓」に向けて議論を重ねてきました。私はコロナ禍を通じて、「強く豊かな国でなければ有事の際に国民を守ることができない」と改めて認識しましたが、日本を危機に対するレジリエンスを備えた強い豊かな国にするためには、コロナ禍で明らかになった社会課題の解決と経済成長を車の両輪として同時に実現することが必要です。

少子高齢化に向かう人口動態等、様々な構造的課題を抱えるわが国が、社会課題を解決すると同時に経済成長を図るためには、一国の豊かさを示す総合的な指標である「1人当たりGDP」の引き上げを国全体の目標として掲げ、あらゆる分野での生産性向上と潜在成長率の底上げを図る必要があります。特に、雇用の約7割を占める中小企業の生産性を引き上げることは、ひいてはわが国全体の生産性の向上につながる重要な課題です。他にも、経済・医療安全保障、成長を支える基盤である人材育成や科学技術研究への投資、デジタル化の推進、「S+3E」の原則を踏まえたバランスの取れたエネルギー政策と技術革新等が不可欠です。通商面では、TPPやRCEPの成果を踏まえ、同じ考えを持つ国々との連携を深めつつ、引き続き日本が自由貿易体制推進において主導的な役割を果たすべきです。

こうした課題認識を踏まえ、われわれ商工会議所は本年、特に以下3点について重点的な取り組みを実行してまいります。

第一は「デジタル活用による中小企業の生産性向上」です。これまでも幾多の困難を乗り越えてきた日本の中小企業は、様々な変化に柔軟かつ迅速に対応できる潜在的な変革力を有しています。中小企業経営へのデジタル活用は、生き残りをかけた自己変革の有力な手段であり、コロナ禍で加速したデジタル化の流れを、業務効率化に留まらず、越境EC等を通じた販路拡大、さらには業態転換などのビジネス変革にまで広げる経営力向上の柱として強力に支援してまいります。

第二は「事業再構築、取引適正化等を通じた付加価値の向上」です。商工会議所による伴走型の経営相談体制の強化により、事業承継や事業の再生・再構築を後押しし、経営の効率化や付加価値創出力の向上を強力に支援してまいります。また、大企業と中小企業で構成されるサプライチェーン全体で、創出した付加価値やコストをフェアに分かち合う取引適正化も不可欠です。登録企業が4千社を超えた「パートナーシップ構築宣言」は、官民連携でこれを実現するための有力なプラットフォームであり、今後は宣言の実効性をより高め、中小企業の付加価値向上、ひいては日本全体の成長力の底上げに寄与してまいります。

第三は「地域ぐるみの地方創生の推進」です。東京一極集中と言われますが、実際には一次産業の成長産業化、インフラ整備を通じた製造業の集積、インバウンド需要の取り込みなどを進めてきた地方圏の方が、東京圏よりも高い経済成長率を実現しております。コロナ禍を契機としたさらなる地方分散化の動きもみられる中、政府の「デジタル田園都市国家構想」も踏まえ、こうしたモメンタムを地方創生の加速化につなげていくことは、レジリエントな日本の国土形成のためにも不可欠です。商工会議所は、地域総合経済団体として地域の多様な主体との連携を深め、地域ぐるみの地方創生をさらに後押ししてまいります。

最後に、日本商工会議所は今年で創立100周年を迎えます。「地域とともに、未来を創る」をスローガンに、次の100年に向けて、中小企業の活力強化と地域活性化による日本経済の持続的な成長の実現を目指し、515商工会議所と連合会、青年部、女性会、海外の商工会議所とのネットワーク力を最大限活用し、新しい時代を皆さまと切り拓いてまいりたいと思います。引き続きのご支援、ご協力をお願いして、私の年頭のあいさつとさせていただきます。

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